異常検知とは、膨大なデータの中から異常な状態のデータ(他の大多数のデータと比較して異なる状態のデータ)を検出する技術を指します。この記事では、機械学習を用いた異常検知の特徴とおすすめ製品をご紹介しています。
このような方におすすめです
・異常検知の概要やシステムの導入メリットを知りたい方
・異常検知に用いられる5つの機械学習モデルについて知りたい方
・おすすめの異常検知システムを探している方
異常検知とは、膨大なデータの中から異常な状態のデータ(他の大多数のデータと比較して異なる状態のデータ)を検出する技術を指します。
異常検知は様々な分野への活用が可能な技術ですが、その代表例として「製造業」への活用が挙げられます。具体的には、機械学習を用いた異常検知システムの活用が製造業において期待されています。
従来の異常検知は機械設備にセンサーを取り付け、収集されるデータを基に人が異常の有無を判断していました。
しかし、データの分類・識別を可能にする機械学習は異常検知との親和性が高いため、機械学習を用いた異常検知を製造業へ導入することによって、これまで人が行ってきた作業を自動化することが可能です。異常検知の自動化を検討されている方は、ぜひご参考にしてみてください。
機械学習モデルには様々なものがあります。その代表例として、「教師あり学習」「教師なし学習」「半教師あり学習」「強化学習」「生成モデル」をご紹介します。
教師あり学習とは、人が教師として機械に「正解」を教えることによって、機械に学習を行わせる手法です。
具体的には、大量のデータを取り込み、それぞれに「正常」「異常」といったラベル(判定)を付けていきます。このラベルに基づいたトレーニングを繰り返すことによって、正常・異常の判断の精度を求められているところまで引き上げていくことになります。仮に検出したい異常状態が明確な場合は「教師あり学習」が強みを発揮します。しかしその一方で、異常状態が事前に把握できていないような場合は「教師なし学習」の方が優れています。
教師なし学習も、大量のデータを取り込むことで機械に学習を行わせる点は「機械あり学習」と同様です。教師あり学習との最も大きな違いは、ラベル(判定)を人が事前に付けるのではなく、データに基づいてAIに自律的に判定を行わせる点にあります。そのため、機械なし学習の方がより多くのデータを必要とします。
半教師あり学習とは、その名の通り、教師あり/なし学習のどちらの要素も取り込んだ手法です。少量のデータにのみラベル(判定)を付け、そのラベルを参考に他のデータのラベルをAIに自律的に認識させます。
なお、異常検知においては正常なデータのみを学習する方法が数多くあるため、その際に半教師学習と呼ぶケースもあります。
強化学習とは、AIに報酬を与えることで自発的に学習させていく手法です。例えば、様々なシミュレーションの末に最大化した利益を得るような方法は強化学習にあたります。異常検知として活用されるケースは少ないものの、株取引などで用いられているアルゴリズムです。
生成モデルは、データに基づいてオブジェクトをつくりだします。外れ値を検出することができ、データのサンプリングが可能です。異常検知においては、正常データのみを学習させる場合に役立ちます。
製品名 | 特徴 |
---|---|
MONiPLAT(モニプラット) 設備点検プラットフォーム | 現場の声が反映された設備点検プラットフォームです。時間基準保全(TBM)と状態基準保全(CBM)が一つのプラットフォームで完結し、安心で簡単な設備点検を実現できます。 |
e-無線巡回 | 温度と振動加速度を測定し、920MHz帯の無線で親機に送信します。パソコンとLANケーブルが必要で、トレンドグラフで傾向監視やメンテナンス効果の確認ができます。警報(しきい)値を設定し、警報値を超えると画面と音で通知します。 |
異常検知サービス | 逸脱度で異常判定、正常状態のみで学習、高い検知精度、根拠可視化、高速な異常検知が可能な製造業向け異常検知導入サービスです。 |
シグカメ | シグナルタワーを撮影して設備の稼働情報を収集し、アラーム時には担当オペレータにメール通知し、稼働状態はWeb画面でいつでも確認が可能です。 |
軸受異常診断AI vibGazer | 回転駆動系の軸受振動データに注目し、高精度な異常検知、異常タイプ推定、および予知保全を実現するAIシステムです。学習モデル作成機能もあり、コストを削減可能。vibInsightおよびvibCatchのAI判定オプションとして動作します。 |
コナンデッセ波形解析装置 | 良否判定機能付きのサイクルデータロガーで、工程の繰り返しを行う機械の状態を監視し、正常か異常かを判定できます。 |
MATLABによる予知保全 | 予知保全に必要なデータの収集からシステムへの実装までを効率的に行うプラットフォームを提供し、4つのステップ(データ収集、前処理、予測モデル開発、システム統合)全てに対応可能です。 |
予兆保全AIシステム | トラブル発生前の微妙な違和感を検知し、大規模災害等を未然に防ぐことが可能。あらゆるデータに対応し、正常データのみでモデルを生成するためデータ収集やアノテーションが不要です。 |
状態監視計 CM-3001series | 振動を常時監視し設備異常を早期に検知します。研削盤砥石の振動監視、工作機械の工具チッピングの検出、送風機・ブロワのモニタリング・トレンド管理等に活用可能です。 |
UIS デジタルエンジニアリングソリューション | 多様な検討手法や分野、ソリューションでの知見を結集し、デジタルエンジニアリングソリューションを提供し、お客様のものづくりを包括的に支援します。 |
FLEXDOOR | 省エネへの第一歩となる、電力使用状況を設備ごとに計測・把握するツールです。 |
MONiPLAT(モニプラット)は、現場の声が反映された設備点検プラットフォームです。時間基準保全(TBM)と状態基準保全(CBM)が一つのプラットフォームで完結し、安心で簡単な設備点検を実現できます。
20設備までを登録無料でご利用いただくことが可能で、点検作業から承認まで、スマホ1台で簡単に設備点検をスタートさせられます。
子機に接続されたセンサで温度と振動加速度を測定し、920MHz帯の無線で親機に送信するシステムです。親機に送信されたデータを確認するため、パソコンとLANケーブルが必要になります。
製造業向け異常検知導入サービスです。
正常状態からの遠さ(逸脱度)で異常を判定、正常状態のみで学習可能、MT法よりも良い検知精度、異常の原因と根拠がわかる、他社にないアルゴリズムの採用で異常検知を高速で実現という5つのデータ判定方法の特長があります。
カメラでシグナルタワーを撮像し、設備の稼働情報を収集します。設備アラーム時には担当オペレータにメール通知を行います。設備の稼働状態はいつでもWeb画面で確認できます。
軸受異常診断AI 『 vibGazer 』 ではモーターなどの回転駆動系の軸受振動データに注目。AIモデルが異常兆候をいち早くキャッチし機器が故障停止する前にお知らせします。
コナンデッセ波形解析装置は、良否判定機能付きのサイクルデータロガーです。
大量生産など、同じ工程を繰り返す機械の状態を監視して正常か異常かを判定することができます。
コンパクトな(W115xD97xH40mm)本体にて、大量のサイクル波形データをSDカードに記録します。高速で簡単にグラフ表示や分析を行うソフトウェアが付属します。
予知保全に必要なデータの読み込みから最適なアルゴリズムの選定、そしてシステムへの実装に至るまでの行程を効率よく(一部全自動で)行うことができるプラットフォームを提供します。
Arithmerの予兆保全AIシステムはトラブル発生前の微妙な違和感を検知し、結果的に大規模災害等を未然に防ぐ事が可能となります。
360°カメラや動画など、あらゆるデータに対応。
正常データのみでモデルを生成するため、面倒なデータ収集やアノテーションが不要です。
研削盤砥石の振動監視、工作機械の工具チッピングの検出、送風機・ブロワのモニタリング・トレンド管理などに最適です。
UISがこれまで培った各種検討手法、検討分野、ソリューションでの知見を掛け合わせた「デジタルエンジニアリングソリューション」の提供を通じ、多面的、包括的にお客様の「ものづくり」を支援します。
設備ごとの電力使用状況の計測と把握が可能です。
さらに、温度を測ることで電力との相関係数から電力量が適正かより細かく調べることができます。
電力監視システムは、省エネ活動や電力の使用状況を把握するためのツールです。
電力監視システムは、導入=省エネというわけではありません。
計測しているデータを活用することで省エネへの第一歩を踏み出すことができます。
機械学習を用いた異常検知の代表的手法として、「ボテリング理論」「k近傍法」「単純ベイズ法」の3つをご紹介します。
ホテリング理論は、人の主観に影響を受けずに、客観的な評価を行うために統計モデルを用いる手法です。そのため、外れ値(異常値)を検知したい場合の最も基礎的な手法として一般的に認知されています。
k近傍法は、分類の際に使用される手法です。異常検知を実施するデータが多数のクラスターからなる場合、ホテリング理論では外れ値(異常値)を取り除くことができません。そのため、確率分布を明確にしないで外れ値(異常値)を検知するk近傍法を用います。
時系列データの外れ値(異常値)を検知する際に用いられることが多い手法です。
単純ベイズ法は、ベイズの定義を基にしたアルゴリズムです。ベイズの定義は、データセットがいくつか与えられたとき、それを基にした複数の推定がある場合に、どの推定が最も近しいのかを判断する際に用います。
近年において、製造業の異常検知にはシステムを活用するケースが多くなっています。
中でも主流となりつつあるのが学習モデルによる異常検知システムの活用であり、この技術によって、人の判断によって行われていた異常検知を機械で自動化することが出来るようになっています。
AIを使用した異常検出技術は、機械の異常な動作を感知する能力を提供します。データを事前に学習させておけば、異常を事前に検知できるため、事故や問題の発生を未然に防ぎ、システムの安全性向上に寄与してくれるでしょう。
機械学習を活用することで、従業員は最低限の業務で異常を検知できるようになります。AIは明確な可視的および数値的な基準に基づいて異常を検知します。機械学習の力を借りることで、AIは人が難しいと感じるほど微細かつ速やかな検知を実行します。
従業員はこの明快なAIの働きをサポートすることで、高精度な異常検知業務を実施できます。人間の視覚や感覚だけを頼りに異常を見つけることは心理的にも負担が大きいことがありますが、AIの導入により、従業員はそのような負担から解放されつつ、検知にかかる時間も短縮することが可能です。
製造業界では、長年の経験に裏打ちされた熟練検査員の技術に依存する傾向が強くあります。しかしながら、これに頼りっきりとなることはリスクを孕んでいます。特に、熟練検査員が退職すれば、経験の浅いスタッフが残る可能性が高まり、不良品の適切な検出が難しくなるという課題が生じることでしょう。
このような課題において、異常検知システムの導入は有効的です。異常検知システムは熟練検査員に過度に依存する必要性を排除し、属人化を防ぐ一助となります。
人間による検査では、避けられないヒューマンエラーが発生する可能性が高いため、この問題を防ぐことは非常に難しい課題です。しかし、異常検知システムの導入により、人間による検査よりも高い精度で異常を検知できるため、ヒューマンエラーの発生を抑制することができるようになります。
今回は製造業において機械学習を用いた異常検知を導入するメリット、5つの機会学習モデル、異常検知方法3つの代表例をご紹介しました。
5つの機械学習モデルでは「教師あり学習」「教師なし学習」「半教師あり学習」「強化学習」「生成モデル」についてそれぞれの特徴を、異常検知方法では「ホテリング理論」「K近傍法」「単純ベイズ法」の3つについて紹介しています。
ご紹介した機会学習モデル・異常検知方法は共にメリット/デメリット(得意/不得意)が異なるため、自社業態に適した方法を選択するようにしましょう。